劇場近くにある、宝塚ファン御用達の喫茶店「珈琲館 紅鹿舎」。観劇後と見られる女性たちが集い、談笑していた(撮影/大谷百合絵)

「パワハラを認めると、特定の個人が世間から断罪されてしまう。生徒を守るという立場上、それができなかったんだと思います。

 宝塚において、厳しい上下関係は昔からずーっと続いてきたもの。上級生が『自分たちも受けてきたから』と行った“指導”は、被害者には“いじめ”で、追い込まれていった側面もあるかもしれません。昔だったら許されていたことが今の時代では許されなくなった背景を考えると、たまたま今、そのバトンを受け取った人だけが責められて、人生を奪われるのは、あまりにかわいそうです」

"時代にあった姿”とは

 言うまでもなく、指導のために人が亡くなるようなことはあってはならない。では今後、宝塚はどうすれば、時代にあった姿に変われるのだろうか。

「以前よく言われていた、“阪急電車へお辞儀する”というルールは最近なくなったみたいだし、既に変わりつつあるとは思うんです。今回の一件で、生徒さんたちも『言いすぎるとこういう結果になるんだ』と心に刻んだと思う。長時間労働を是正したり、下級生の仕事をサポートするスタッフを増やしたり、一つひとつ積み重ねていくしかないでしょう」

 失われた尊い命は、戻ってこない。一人が犠牲になった今、新生・宝塚に向けた改革は、待ったなしだ。

11月14日、会見当日の夜の東京宝塚劇場(撮影/大谷百合絵)

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

 
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