終演後、続々と劇場を後にする観客たち(撮影/大谷百合絵)

「劇団内の“いじめ”がクローズアップされていますけど、自殺の本当の原因は本人にしかわからない。それに、昔から宝塚の上下関係は厳しいものだし、女の園なんだから多少のいじめもあったと思いますよ」

きちんと調査してほしい

 しかし、今回亡くなったとされている劇団員Aさんのファンだという50代女性は、憤りを隠さない。

「Aちゃんのファンならみんな知っていると思いますが、カジノ・ロワイヤル(※今春の宙組公演『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』)の新人公演後の出待ちのとき、Aちゃんだけ出てこなかったんですよ。ということは、その時に“指導”っていうものがあったのかなと想像してしまいますよね。どの媒体にも載っていないみたいですけど、きちんと調査してほしい」

 このように、劇団員自死をめぐる見解は、実に多様だ。軋轢(あつれき)を生まないよう、仲間うちで話題にするのを避けている人も少なくない。

激しい競争や妬み嫉み

 そんな現状に、ファン歴20年の40代女性は、「今までどおり、みんなが笑って楽しく舞台を観られる日が早く来てほしい」と、寂しそうな表情を浮かべる。

「華やかな世界にも“裏側”があることは、みんな元から知っていたと思うんですよね。主役の座をめぐる激しい競争も、妬み嫉みも、当然あるだろうし、みんなお手々つないで仲良く……というわけにいかないことはわかっている。でも、宝塚の標語は『清く正しく美しく』で、少なくとも舞台上では、現実世界の嫌な事を忘れさせてくれるんです。そんな“夢夢しさ”が圧倒的に支持されている以上、突然、裏の部分がガバっと見えちゃうと、拒否反応を起こす人もいると思います」

 今回の会見で、劇団側がパワハラを認定しなかったことについては、ファンの間からも厳しい声が多く聞こえてきた。だが、この女性は「納得している」のだという。

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「昔だったら許されていたことが…」