宝塚歌劇団の25歳劇団員が死亡し、自殺とみられている事件について、劇団は11月14日に記者会見を開いた。「長時間の活動があったことは認めるが、いじめやパワーハラスメントは確認できなかった」と発表されたこの会見を、宝塚ファンたちはどう見たのか。生の声を集めると、ファンの間に無数の“溝”が生まれつつある現状が浮き彫りになった。
【写真】宝塚ファン御用達の喫茶店。観劇後と見られる女性たちが談笑していた
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14日午後9時過ぎ。東京宝塚劇場前は、月組公演『フリューゲル -君がくれた翼-』『万華鏡百景色(ばんかきょうひゃくげしき)』の観劇を終えた人々であふれていた。
公演より遺族や生徒に寄り添って
会見についてどのような印象を持ったかファンに聞くと、
「正直言えば残念。上級生は指導だと思っているかもしれないけど、私はいじめだと思います」
「ジャニーズ事務所もそうでしたが、対応が後手後手に回ったせいで、こんなに大きく報道されて、ご遺族の方も傷つけている。ちゃんと調査をして、いじめがあったなら認定するべき」
といった声が聞かれた。
「歌劇団はご遺族の主張に真摯に向き合っていないし、いざこざをなかったことにしようという保守的な姿勢を感じた」
と話す20代女性は、この日、複雑な思いで劇場に足を運んだという。
「せっかくチケットが取れたので来たんですけど、引っかかる気持ちはありました。私は、ファンのために公演を続けることって最優先事項じゃないと思うんです。それより、ご遺族や生徒さんにもっと寄り添って、内部の対応を優先してほしい」
一方、カナダ在住という50代女性は、
「カナダではライブ配信しか見られなかったから、やっと生で見られて本当によかった。7年ぶりに日本に帰るから、(兵庫県の)宝塚大劇場のほうのチケットも取っていたのに、今回の事件を受けて中止になっちゃって……。今日も幕が上がるまではドキドキでした」
と、感無量といった表情を浮かべた。
女性は、今回の劇団員自死の報道について、一歩引いた視点で見ているという。