学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(30)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、生成AIの活用について、廣津留さんの考えを聞いてみた。

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Q. 昨今、生成AIが何かと話題です。廣津留さんは大学で教鞭もとられていますが、アカデミックな学びの場におけるAIの活用について、考えを聞かせてください。

A. そうですね……、もし学生に論文やレポートを課したときに、全部ChatGPT(チャットGPT)等の生成AIで作成したものを提出されたら、さすがにそこに学びはないんじゃないかと思ってしまいます。大学レベルになると、知識の吸収量は本人のやる気次第なところもあるので「何か学べたことはある?」って聞きたくなっちゃうかも。

 私は自分の担当する授業でエッセーの課題を出す場合、クリエーティブであるか否かを評価基準にしています。世間で「正しい」とされることよりも、今までにないアイデアを出せるかがポイント。生成AIは過去の事例などを学習し、そのデータを活用して答えを出すものなので、新しいアイデアはあまり出てこないと思うんです。そういう点で、今後は大学における課題の出し方や評価のポイントが変わってくるかもしれませんね。先学期の学生にもプレゼンテーション用の画像生成にAIを使っている人がいましたが、作業効率化にうまく利用できる人は使って良いと思います。

 ツールの役割を理解することも大事ですよね。チャットGPT等の生成AIはGoogleのような検索ツールではないので、言葉の意味を調べるというよりも、もう一歩踏み込んだ質問をするときに使うものだと思うんです。まさに「質問力」が要。それを理解して使い分けることがポイントなのかなと思っています。

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廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、国際教養大学特任准教授・成蹊大学客員准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

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