「財務副大臣が税金滞納と報じられ、派閥内でも『すぐに自ら辞表を』と説得に動いたのですが、神田氏は『いや続けたい』『クビになったような印象で嫌だ』『滞納したが、その後は支払っているから問題ない』などと抵抗を続け、副大臣を続けると言い張ったんです。まわりからは『粘ることか!』と批判も出るなか、ようやく辞めると言ったのは更迭された日でした。岸田政権には大きなマイナスで、派閥の信用もガタ落ちです」

不機嫌な岸田首相

 ある自民党幹部は、

「去年は大臣のスキャンダルで次々と更迭が続き、今年は副大臣と政務官。支持率が落ちこんでいるときなだけにダメージが2倍、3倍と増幅される。副大臣と政務官については実質的には官房長官に任せている。岸田首相も『なんでこんなに続くんだ』と不機嫌な様子でした。これで支持率の回復は見込めず、厳しくなる」

 と危機感を打ち明けた。

岸田文雄首相に辞表を提出後、取材に応じる山際大志郎経済再生相(中央)=2022年10月24日、首相官邸
衆院法務委員会を前に取材に応じる葉梨康弘法相=2022年11月11日、国会内
参院政治倫理確立・選挙制度特別委員会に臨む寺田稔総務相=2022年11月16日、国会内
辞任で会見する秋葉賢也復興相=2022年12月27日、東京・霞が関

 自民党の政務調査役を長く務めた政治評論家の田村重信氏は、

「政務三役の2人が神田氏より先に更迭に追い込まれています。しかし、神田氏が税金滞納で問題になって辞めたというのは、経済対策や減税を打ち出している岸田首相にとっては、前の2人よりずっと重くのしかかり、ますます求心力を失いかねないです。こうも辞任が続くと、“岸田降ろし”の端緒になりかねない」

 と話す。

 最初の「辞任ドミノ」の時も「任命責任を重く感じている」と発言していた岸田首相。具体的な“責任”の取り方を見せてほしいものだ。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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