3月19日におこなわれた棋王戦五番勝負第4局で、10連覇中の渡辺明(38)を破り史上最年少で六冠を達成した藤井聡太(20)。史上初の八冠制覇に期待がかかる。AERA 2023年4月3日号の記事を紹介する。
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今年度の藤井はハードスケジュールの中、叡王、棋聖、王位、竜王、王将を順に防衛。さらには棋王を獲得し、保持するタイトルは全部で六つとなった。
「7月以降はかなり、対局が多いときが続いたんですけど。その中で、勝負強く指すことができたのは収穫だったかなと思っています」
「まだまだ実力的には足りないところが多いと思うので。立場にふさわしい将棋が指せるように、よりいっそう頑張らなくてはいけないのかなと思います」(藤井)
対局地の栃木県はイチゴの名産地としても知られる。終局後、藤井が贈られた6粒のイチゴには「祝六冠 1+5=6」と記されていた。六冠は羽生善治九段(52)に続いて史上2人目の偉業だ。羽生の六冠達成は1994年、24歳のとき。藤井は弱冠20歳にして「史上最年少六冠」という記録を作った。
藤井のこれまでのタイトル獲得数は森内俊之九段(十八世名人資格者、52)に並んで12だった。
「そういった実績のある棋士の方の対局を見ると、まだまだ学ぶところが多いのかなというふうにも感じています」(藤井)
棋王獲得で通算13期。佐藤康光九段(永世棋聖資格者、53)に並んで歴代7位タイとなった。
事前に収録され、棋王戦第4局と同日に放映されたNHK杯決勝では、藤井は佐々木勇気七段(A級昇級により八段に昇段、28)を破り、初優勝を達成。史上初めて、銀河戦、日本シリーズ、朝日杯、NHK杯と、早指しのトーナメント4棋戦をすべて制することになった。
要するに藤井は今年度、途中で敗退した棋戦は、挑戦権を争うトーナメントの1回戦で大橋貴洸六段(現七段、30)に敗れた王座戦のみ。ほとんど完璧に近いシーズンだったと表現するのが適切だろう。