今年の阪神は強かった。夏場以降はペナントレースを独走。9月14日の巨人戦(甲子園)で11連勝を飾り、球団史上最速で18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。CSファイナルステージはファーストステージを勝ち抜いた2位・広島に3連勝。日本シリーズではオリックスとの激闘を4勝3敗で制した。
岡田彰布監督が就任し、攻守でスキのないチームに進化した。もちろんまだ発展途上だ。その象徴的な存在が、不動の4番として全143試合でスタメン出場した大山悠輔だ。
今季は打率.288、19本塁打、78打点をマーク。及第点をつけられる数字だが、4番としては物足りなさを感じる。打撃3部門の数字でいえば、他球団の4番打者のほうが際立っている。岡本和真(巨人)は打率.278、41本塁打、93打点をマーク。自身3度目となる本塁打王のタイトルを獲得した。村上宗隆(ヤクルト)は春先から打撃不振に苦しんだ影響で打率.256、31本塁打、84打点。168三振はリーグワーストだった。昨季は日本選手最多記録の56本塁打を樹立し、史上最年少の22歳で三冠王に輝いたため、不本意な成績となったが3年連続30本塁打をクリアした実績は評価されるべきだろう。大卒3年目の牧秀悟(DeNA)も球界を代表する強打者にのしあがった。打率.293、29本塁打、103打点をマークし、打点王と最多安打(164本)のタイトルを獲得。広角に長打を飛ばし、得点圏打率.354と勝負強さが光った。
本塁打、打点など長距離打者の指針となる数字を見れば、大山は岡本、村上、牧を下回る。ただ、現場の評価は変わってくる。他球団の首脳陣はこう語る。