今季のチームの総四球数は494でリーグトップ。昨季の358四球から大幅に増えている。チーム総得点もリーグトップの555得点で、昨季の489得点から60点以上増えた。本拠地が広い甲子園で本塁打を量産するのは難しい。次の打者につなぐ意識を大事にして、難敵と呼ばれる投手を攻略する。6月4日のロッテ戦(甲子園)は象徴的な試合といえるだろう。佐々木朗希との対戦で、五回まで無安打も低めのボールは振らないことを徹底し、78球を投じさせた。少ないチャンスをきっちりモノにする。0-0の六回1死三塁で、大山が高めに浮いたフォークを右前に運ぶ決勝適時打。まさに4番の働きだった。
スポーツ紙デスクは、「阪神の4番は特別」と強調する。
「どのチームも4番が打たなければメディアやファンから叩かれるけど、阪神は特に凄い。凡打して甲子園がため息に包まれて、重圧に押しつぶされそうになった選手を何人も見てきた。大山は喜怒哀楽をあまり表に出さないタイプだけど、その重圧と闘ってきっちり結果を残しているから立派ですよ。リーグ優勝した時に涙を流していましたが、それだけ背負っていたものが大きかったと思います。今年はチーム打撃に重点を置いていた部分がありますが、2020年に28本塁打を打っているし長打力は十分にある。打率3割、30本塁打は達成可能な数字です」
不動の4番で日本一に大きく貢献したことは、大きな自信につながっただろう。来月で29歳と、選手としてこれから脂が乗り切る時期に入る。どのように進化するか楽しみだ。
(今川秀悟)