カルチャーの街というイメージがあるが、古くからの住民も多い住宅地でもある東京・下北沢。人々の思いを汲みながらの街づくりは、シモキタならではの価値を生み出している。AERA 2023年11月13日号より。
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下北沢、通称シモキタ。
小田急小田原線・京王井の頭線の下北沢駅を中心とした東京都世田谷区北東部、住所表示では北沢・代沢・代田の3町を含む一帯は約3万5千世帯、5万8千人が暮らす一大住宅街であると同時に、様々な魅力を包括した街として、多くの人を引き付けてきた。ファッションの街、サブカルの街、若者の街、音楽の街、カレーの街……。下北沢を言い表す二つ名は数多い。
矯正歯科医で、ロックバー「Never Never Land」を営む下平憲治さんは、下北沢を「仲間づくりの街」と表現する。
「この街には30近いライブハウス、約10の劇場、三つのお笑い小屋があり、無数の音楽やカルチャーの店、飲み屋があります。夢を持ってこの街へきた人たちがそうした場で出会い、コミュニティーをつくっていく。偶然の出会いから仲間ができる。そんな街だと思います」
この下北沢に2022年5月、全長1.7キロ、土地面積約2万7500平方メートルの広大な敷地を開発して生まれた新しい街「下北線路街」が完成した。小田急線の東北沢駅~下北沢駅~世田谷代田駅間が地下化したことに伴う線路跡地を利用したものだ。