中国残留邦人三世の雪蓮さんは日本風の通名を使っていた小学生のころ、「自分のルーツを隠しているような気持ちだった」という。そして大人になった後、中国のルーツを大切にしたいという思いから、日本の家庭裁判所へ申し立てをして、戸籍上の名前を中国で使っていたものに変えた。(実は、雪蓮さんからの要望で、雪蓮さん自身と子どもたちはいずれも実名にしている)

 教室には他にも、自己紹介が嫌いだというフィリピンルーツの子がいた。「日本人っぽくない名前を言うのが恥ずかしくて、怖かった。いじめの原因になるんじゃないかって、いつも不安だった」というのだ。

 移民ルーツの子どもが名前についてこれほど悩まされる背景には、「違い」を排除すべきものとして捉える社会の圧力があるのだろう。

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