ある日の学習が終わった後、私が自宅まで送る道中、ジェニファーは「コンビニに寄りたい」と言い出した。寄り道は禁止だが、「どうしても」と言うので一緒に店へ入った。彼女は白ご飯のパックと小さな総菜を二つずつカゴに入れて、レジへ向かった。

「お母さんと私の晩ご飯やねん」

 そう言って見せた、はにかむような笑顔を、私は忘れることができない。

 母一人、娘一人の暮らしは常に楽ではない。アンジェラさんはミナミのパブで午後八時から午前一時まで、時給二千円で働いていた。少しでも生活費を稼ごうと、別の店へもアルバイトとして働きに出ていた。夜に出勤する間は、フィリピン人の友達に娘の世話を頼んだ。それでも手取りは月十数万円で、生活はぎりぎりだった。

「ジェニファーには大学までいって、いい仕事についてほしいね。マミーと一緒の仕事はだめだからね!って、いつも言ってるから」

 ピンク色の装飾が鮮やかな1Kの自室で、アンジェラさんは冗談めかして笑った。

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