役所からは督促状が来ていたが、日本語が読めないアンジェラさんは、それに気付けなかった。

 日本で生まれ育ち、日本語が問題なく読み書きできる人の目には、ただ無責任な親だと映るかもしれない。しかし、児童手当などは、自分から役所に申し込まない限り支給されない「申請主義」をとっている。日本語が不得手な移民にとって、簡単なことではない。役所に行っても、難しい行政用語で説明を受けたり、窓口をたらい回しにされたりして、あきらめた経験をもつ人は少なくない。

 教室スタッフがアンジェラさんと一緒に役所へ行き、窓口での説明をやさしい日本語にかみ砕いて伝えた。申請用紙の記入も手伝った。

 この同行支援をきっかけに、アンジェラさんは教室につながった。彼女は娘を大切にするあまり、学校以外の活動にジェニファーを参加させることをためらいがちだった。しかし、教室スタッフと顔の見える関係ができたことで、娘を教室へ送り出すようになった。

 にぎやかな子どもが多い教室の中で、ジェニファーは物静かな方だった。いつも仲良しの同級生女子と並んで座り、ひそひそ声で楽しそうにおしゃべりしていた。

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