アンジェラさんの離婚から数カ月がたち、ジェニファーの通う南小学校の教師が、在留資格の問題に気付いた。南小の校長だったヤマザキさんとMinamiこども教室のスタッフが家庭訪問をして、在留資格が切れていることを確認した。

 ヤマザキさんらは在留資格の問題に詳しい弁護士に依頼し、入管との交渉にあたった。

 弁護士は私の取材に、「入管の対応はかなり厳しく、そのままでは入管施設に収容され、強制送還される可能性があった。子どもに対しても『小学生の間であれば、フィリピンの環境に十分に対応できるはずなので、国籍のある本国に帰れ』という姿勢だった」と話していた。

 ジェニファーは幼いころからぜんそくの発作があり、通院が途絶えると命の危険さえあった。かかりつけの医師の協力も得て、入管に事情を伝え、なんとか母娘に在留資格が出ることとなった。ただ、一年ごとの資格更新が必要で、二人にとっては不安な日々が続いた。

 教室のスタッフは在留資格の相談をきっかけに、アンジェラさん母子から、公的支援の利用状況についても聞き取った。本来であれば受給できるはずの児童手当やひとり親家庭向けの児童扶養手当を申請できておらず、健康保険料の滞納によって、保険証も失効していることがわかった。

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