片づけはもともと苦手。それまでは、家庭訪問などで人が家に来るときだけモノを見えないところに押し込むということが、くみこさんの「片づけ」でした。
そして、モノが多い原因は家族のコミュニケーション不足にありました。くみこさんが忙しい上に、夫も仕事で忙しく、高校生の息子2人も学校にバイトに忙しい。「これ、もう使わないかな?」と思うモノがあっても、「家族に確認してからにしよう」と後回しにして、結局話す時間もなく放置されていたのでした。
「片づけを進める中で、家族と絶対に話さないといけないことが増えてくるんですよね。まとまった時間がほしいときは、『何曜日の何時からちょっと時間ちょうだい』と予定を決めました」
話をするとき、これまではくみこさんが一方的に自分の要求を伝えることが多かったそう。でも、今回は家族の気持ちをちゃんと聞くように気をつけました。
「いつも学校のカバンが置きっぱなしなので、『2階の部屋にちゃんと片づけてよ』じゃなくて、『なんでここに置きたいの?』って聞いてみたんです。そしたら、『重たい!どうせ明日も持って行くのに2階まで持って行きたくない』って。実際に持ってみたら本当に重かったし、初めて子どもからそういう気持ちを聞きました」
家族の気持ちも考えながらモノの定位置を決めていくと、どんどん暮らしやすい家に変わっていきました。それだけではありません。
「息子たちがよく話してくれるようになりました。前は私が無理やり学校のこととかを聞き出していたんですが、この間は私が行けなかった学園祭の様子を自分から教えてくれたんですよ!」
くみこさんは、家族の会話が増えたことが「本当にうれしい!」と笑顔で教えてくれました。
実は、くみこさんは同時に自分の実家も片づけていました。プロジェクト参加中にまた母親が入院することになり、退院後の生活を心配してのことでした。
「実家はまさにゴミ屋敷で、最近では娘の私でさえ家に入れてくれませんでした。入院するとなって無理やり中に入ったら、モノだらけの家に愕然としました」