06年の高校生ドラフト3巡目でソフトバンクに入団した伊奈龍哉(近江高)も、高校通算74本塁打を記録し、“伊奈ゴジラ”の異名をとったが、右肩の故障を理由に1年で戦力外通告を受けた。
台湾プロ野球を経て、01年のドラフト7巡目でダイエー入りした養父鉄も腰を痛め、1軍登板のないまま、1年でチームを去った。
最後に1年で退団した育成ドラフト指名選手を紹介する。
10年の育成7位で巨人に入団した内野手・川口寛人(西多摩倶楽部)は、同年育成3位で楽天入りした弟・川口隼人(高島ベースボールクラブ)とともに史上2組目の双子の兄弟選手として話題を集めたが、肩の故障で2軍戦にも出場できず、1年で引退した。
20年の育成6位でオリックスに入団した内野手・古長拓(BC福島)は、BC時代に目立った成績を残していないことに加え、26歳という年齢などから、「謎の指名」と言われたが、ウエスタンで11試合出場の8打数1安打に終わり、1年で戦力外になった。
翌21年の育成ドラフト2位で日本ハムに入団した25歳の捕手・速水隆成(BC群馬)も、イースタンで66試合に出場し、打率.190、5本塁打、14打点を記録したが、「1年勝負と覚悟を決めていた」と自ら引退を申し出、球界を去っている。(文・久保田龍雄)
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。