3球団競合の末に西武が交渉権を獲得した国学院大・武内夏暉
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 4年ぶりに有観客での開催となった2023年のドラフト会議。支配下72人、育成で50人の合計122人が指名される結果となった。チームの将来に適した指名ができた球団はどこだったのか、採点してみたいと思う。今回はパ・リーグ編だ。

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■日本ハム:85点

 1位で西舘勇陽(中央大)、前田悠伍(大阪桐蔭)と2度抽選を外したが、スケールでは彼らを上回る細野晴希(東洋大)を獲得できたことで大きなマイナスは感じない。2位では大学ナンバーワン捕手の進藤勇也(上武大)を指名。捕手は大きな補強ポイントであり、進藤は近年の大学生捕手の中でも頭一つ抜けた存在だけにこの指名も大きかった。3位の宮崎一樹(山梨学院大)も総合力の高い外野手で、万波中正より若い支配下の外野手がいないことを考えると的確な指名に見える。4位、5位の高校生外野手2人も将来性は抜群で、野手に関しては狙い通りの指名だったのではないだろうか。気になったのは支配下指名の投手が細野だけだったということ。今年は投手に好素材が多く、指名がなかった選手の中にも面白い投手は残っていただけに、もう1人くらい指名があっても良かったように感じた。

■西武:85点

 1位で3球団が競合した武内夏暉(国学院大)を引き当てたことは最大のプラスポイントだ。安定感は今年の大学生候補の中でも1、2であり、1年目からある程度の勝ち星も期待できる。また2位で指名した上田大河(大阪商業大)も大学球界を代表する実力者であり、この2人を上位で指名できた点で十分合格点をつけられるのではないだろうか。ただ少し気になったのが3位以降の指名だ。高校生と独立リーグの好素材、社会人の実戦派と投手に関しては確かに悪くない指名だが、支配下指名の野手は村田怜音(皇学館大)だけ。村田は確かにスケールの大きい打者だが、典型的な未完の大器タイプであり、野手の世代交代が必要なチーム事情を考えるともう1人くらいは野手を指名しても良かったのではないだろうか。昨年は支配下で4人野手を指名しているという影響はもちろんあると思われるが、それ以前に指名した野手の苦戦も目立つ。内野手を中心にもう少し野手の指名を検討してもらいたかったというのが正直な感想だ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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