■ロッテ:75点

 吉井理人監督の「よく外しました」というコメントの通り、3度抽選を外した末に上田希由翔(明治大)を1位指名。完全な長距離砲というタイプではないが、打撃技術が高く、パワーも備えており、本拠地のZOZOマリンスタジアムであればある程度のホームランも期待できる。打線の格となる選手が必要なだけに、全く悪くない選択と言える。2位の大谷輝龍(日本海リーグ・富山)はリリーフの即戦力候補。変化球に課題は残るが、ストレートのスピードならNPBでもトップクラスであり、中堅、ベテランが多いブルペン陣を考えると理解できる指名だ。3位以下では高校生の投手2人と野手1人を指名。3人とも今年の候補の中では上位の実力と将来性を持った選手であり、若手の底上げという狙いも見られた。2位の大谷がもう少し下の順位で指名できた可能性はありそうだが、3度抽選を外しながらも全体的には上手くまとめたという印象だ。

■楽天:75点

 常広羽也斗(青山学院大)、前田悠伍(大阪桐蔭)を外したが、大学球界でも屈指の左腕である古謝樹(桐蔭横浜大)を指名。まだ少し調子に波があるが、好調時のボールは素晴らしいものがあり、将来性の高さも魅力だ。昨年獲得した荘司康誠とともに近い将来は左右の両輪となることを期待したい。2位の坂井陽翔(滝川二)、3位の日当直喜(東海大菅生)はともに高校球界を代表する大型右腕。スケールの大きさはもちろんだが、変化球やコントロールなども悪くなく、ある程度の完成度も備えているのは大きな魅力だ。投手陣の世代交代が課題であり、昨年獲得した投手は荘司以外はリリーフタイプが多かったことを考えると、上位でこの3人を指名できたのは非常に大きかった。少し気になったのは4位以降だ。6位の中島大輔(青山学院大)以外は完全に素材重視に振り切っているように見え、正直もっと低い順位や育成で指名できたのではないかという印象は否めない。また強打者タイプの野手を指名できなかった点も残念だった。育成ドラフトに12球団で唯一参加しておらず、そのあたりの影響もありそうだが、去年も投手中心の指名だったたけに、特に野手の指名に関しては別の選択肢もあったように感じられた。

(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
 

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
【フジロック独占中継も話題】Amazonプライム会員向け動画配信サービス「Prime Video」はどれくらい配信作品が充実している?最新ランキングでチェックしてみよう