飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」も今回で最終回。今回は、アジア競技大会(2006年)に出場した馬術選手で、東京都八王子市で歯科医師として働く野下由希子さん(51歳)の話です。野下さんは海外留学時に一緒に暮らした猫と共に帰国。その後、家の周囲の野良猫の多さに気づいて団体を立ちあげ、約8年間、保護活動に邁進してきました。多忙な中、何故どんなふうに保護を始めたのか聞いてみました。
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我が家は1階が歯科医院、2階が住居部分になっています。
今、犬が8匹、猫が17匹います。ほとんどが高齢や病気、何らかの問題を抱えて譲渡が叶わず“うちの子”になりました。
私の一日は、朝5時半過ぎに起床して、妹やボランティアさんと犬の散歩にいき、帰宅すると犬のごはんと猫のご飯やトイレのお世話をする。8時半から歯医者の仕事をして、休憩時間と、仕事が終わった夜7時以降にまた犬の散歩と、猫のお世話……。
昼間に私の患者さんの予約時間が空くと、同じく歯科医をする妹に後を任せ、病気の子を動物病院に連れていくということもあります。
まあ、24時間、動物と一緒なわけです。今は動物の数が少し落ち着きましたが、春まで歯科医のほか大学の馬術部のコーチもしていたので、目が回る忙しさでした
(2015年以来)今までに保護した猫と犬の数は255頭。うち233頭を譲渡しました。もともと動物好きでしたが、自分で「保護活動」をするとは、正直思っていなかった。やらざるを得ないというか、自然な流れだったのかもしれません……。
留学先のオランダで出会った運命の猫
馬術好きな両親の影響で、私は1歳半の頃から父に抱かれて乗馬をしていました。子どもの頃から馬に親しみ、
乗馬クラブには愛馬がいて、自宅に犬もいました。でも近所の猫に手をと顔を血が出るほど引っ掻かれたことがあり、以来、猫には苦手意識を持っていたんです。
そんな私が猫に興味を持ったのは、ヨーロッパに馬術留学をした時。