女性のおよそ8割は、生理中に“なんらかの痛み”を感じるといわれている。今のお母さん世代が育った1980年代から90年代にかけては「生理痛は我慢しましょう」という考え方が一般的だった。現代では、生理痛は医師に相談していいもので、改善できるものという認識が広まりつつある。「『生理は病気ではありませんが、生活に支障をきたすような生理痛は病気だ』ということを、覚えておいてほしい」。自身の音声SNS「高尾美穂からのリアルボイス」でさまざまな女性の悩みに触れてきた産婦人科医・高尾美穂氏は呼びかける。同氏の新著『娘と話す、からだ・こころ・性のこと』(朝日新聞出版)では、生理痛を我慢してほしくない理由と子宮内膜症について書かれている。一部を抜粋、再編集し、紹介する。
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子宮内膜症に2.6 倍なりやすい人
産婦人科医として、若いうちのつらい生理痛を我慢してほしくない理由は、今の困りごとを解決してほしいということに加えて、未来におけるさらなる困りごとを引き起こす可能性が高くなるからです。
若いときから「生理痛が重い」と感じていた人は、特に生理痛を感じずにすごしてきた人と比べて、2.6倍も子宮内膜症になりやすいと報告されています。子宮内膜症の増加は、お母さん世代が少女だったころにはあまり言われていなかった、現代女性にとっての新しい課題なのです。