反対意見なく「選択制」を採択
多摩市が選択制を取り入れたきっかけは昨年8月、市民団体が市教育委員会に出した陳情書だった。
「牛乳アレルギーの子は診断書を提出することで免除されています。しかし、アレルギーはなくても、牛乳が苦手だったり、体に合わないと感じて飲めない子は必ずいます」
団体が市から資料を請求して明らかにした調査結果によると、学校給食の牛乳の残量は、小学校で約10%、中学校で約13%にのぼっていた。
「その多くは、同じ子供が残しているのが現状です。何とか無駄にしない方法はないかと、多くの市民の方に声をかけ、集会を持ちました。牛乳は要らないのではないか、という意見も出ました。(中略)少しでも廃棄する量を減らすために、学期の初めに希望をとる選択制が有効ではないかという結論に達しました」(陳情書)
市教委は2回の審議をへて、「牛乳の選択制」の陳情書を全会一致で採択。佐藤さんは、審議に説明委員として出席したが、特に反対の意見はなかったという。
子どもは牛乳を飲みたがった
一方、こんな事例もある。
今年8月、和歌山市の総合教育会議で「給食の牛乳を減らしてはどうか」という提案が市教育委員から出された。
市保健給食管理課長の宗浩二さんによると、背景にあったのは給食の食材費の高騰による給食費の値上がり。和歌山市では週3日、米飯を提供しているが、牛乳をふりかけや煮干しに代えることで給食費が抑えられるのではないか、という提案だったという。