自校調理の場合、給食費は1食あたり282円、共同調理では275円。そのうち200ミリリットル入りの牛乳パック代が約70円を占める。
「しかし、牛乳をやめて、他の食材でカルシウムを摂ろうとすると、献立の幅が狭くなってしまう。それに牛乳以上にコストがかかる可能性もある。そう回答して、その場は収まりました」
宗さんの発言は、新潟県三条市で持ち上がった、ある議論を背景にしたものだった。
米どころである三条市では08年度以降、完全米飯給食を実施してきた。
そんななかで「ご飯と牛乳は合わないのではないか」という議論が持ち上がり、14年12月から4ヶ月間、試験的に牛乳の提供を停止したのだ。
市教委によると、課題となったのは、文部科学省が定める「学校給食摂取」に示されたカルシウムの摂取量(小学生332ミリグラム、中学生452ミリグラム)を、牛乳なしで達成できるか、だった。
代替食材として煮干し粉やレバー、大豆、小松菜などが活用された。その結果、カルシウムは充足したものの、献立のバラエティーは乏しくなり、おかずも洋風化してしまうという本末転倒の結果となったという。
「牛乳で摂れるカルシウムを他の食材で補うのは難しかった。それに当の子どもたちが牛乳を飲みたがった。そんなわけで、今は給食で牛乳を提供しています」(担当者)
骨は18歳までが勝負
骨と健康について研究してきた女子栄養大学の上西一弘教授は、
「牛乳は比較的手軽にカルシウムが摂れる、とてもよい食品です。子どもたちにとって、学校給食の牛乳が担っている役割は非常に大きい」
と指摘する。