希望があれば、給食で牛乳を提供しないという「選択制」を、東京・多摩市が9月から導入した。アレルギーなどを除く理由で飲まれず、捨てられてしまう牛乳を減らそうという狙いだ。給食の牛乳をめぐっては「米飯と合わない」という議論もあるが、牛乳は成長期の子どもに欠かせないカルシウムが効率よく得られる飲み物。栄養の専門家は「安易に外すべきではない」と指摘する。
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牛乳の「選択制」を始めた多摩市。これまでは牛乳アレルギーなど体質的な理由で飲めない子どもについては、診断書があれば給食で出さない運用をしていた。しかし、牛乳が苦手だったり、親が飲ませたがらなかったりして、手を付けないままの牛乳が少なからず廃棄されている状況があったという。
そこで市教委は、成長期に欠かせないカルシウムを摂取できる牛乳の重要性を保護者に伝えたうえで、「飲用牛乳停止届」を提出すれば、診断書がなくても学期単位で牛乳を出さない仕組みを始めた。
9月からは市内の小中学校の児童生徒の3%にあたる298人が、牛乳を飲まないという「選択」をした。それまで牛乳の提供をやめていた子どもの数は、1学期は109人だったが、2学期からは3倍弱に増えたことになる。
停止届に書かれた理由で最も多かったのは「飲用による体調不良(乳糖不耐症、下痢、腹痛等)」で243人(教員も含む)。「食物アレルギー」は58人、「特定の食物摂取制限(宗教上や疾病等)」は3人、そして「その他」が75人だった。
「正直、これ以上増えてほしくないな、という気持ちがあります」
と、同市学校給食センター長の佐藤彰宏さんは話す。
気になるのは、食物アレルギーよりも多い「その他」だ。記入が少ないために詳しい理由は不明だが、体調不良といった理由以外で親が「子どもに牛乳を飲ませない」という判断をしたことになる。
佐藤さんは、これから「飲まず嫌い」の子どもが増えてしまうのではないか、と心配している。