上西さんによると、小学校から中学生にかけては「発育スパート」と呼ばれる時期で、骨の発達に最も重要な時期。そのため文科省は、一日に必要なカルシウム量の50%を学校給食で提供するように基準を設定している。
「小学校のときに第2次成長期に入ることを考えれば、入学前から牛乳を飲む習慣をつけておいたほうがいい。さらに、学校から帰って1本、そして休日にも牛乳を飲む。学校給食だけではカルシウム摂取量は十分ではありませんから」
上西さんは、親の安易な判断が、子どもの未来に大きな影響を与えかねないと強調する。
この時期に十分なカルシウムを摂取できないと、骨が大きく、丈夫に成長できない。そしてそのツケは高齢になったとき、骨粗しょう症や骨折となって現れる可能性がある。
「若いときにどれだけカルシウムを骨に『貯金』できるかが、老後の生活の安心につながります。なので、ある意味、18歳までが勝負なんです」
年々膨れ上がる社会保障費をどうねん出するかが大きな課題となっているが、牛乳はそれを抑制する可能性を秘めていると、上西さんは言う。
「高校では牛乳が出ないので、カルシウム摂取量は牛乳1本分、きれいに減る。学校給食で牛乳を出さないなんて議論よりも、高校でも牛乳を出そうという議論をしてほしい」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)