その面で、上田は大きな可能性を持っている。他の日本人FWにはない高さと強さを持ち、チュニジア戦の後半28分に角度のない場所から放ったポスト直撃の強烈な左足シュートも、彼の高い能力を示している。だが、代表の舞台ではまだ“頼りなさ”が目に付く。性格的な問題もあるが、ストライカーにはやはりエゴが必要であり、世界と戦うためには相手DFを睨み付け、気迫で圧倒することも必要だ。現在所属しているフェイエノールトで控えに甘んじてプレー機会が少ない点も気がかり。今後、所属クラブでレギュラーを奪い取り、ゴールを外しても空を仰ぐのではなく、大声で吠え、自らに喝を入れるようになってもらいたい。

 今季絶好調の南野拓実は、チームとして生かしたい人材ではある。だが、1トップのFWには適していない。最前線ではなく、1.5列目に下がってライン間でボールを受けて素早く前を向くプレーが真骨頂である。トップ下、シャドーとしては脅威になるが、相手CBと直接ぶつかり合う必要がある1トップ、さらには4-2-3-1のサイドアタッカーでは能力を最大限に発揮できない。偽CFはこなせる可能性があるが、そのためにはサイドの人材にFW的な動きと能力が必要となり、三笘、伊東は適任ではないだろう。また、抜群のスピードを誇る前田大然も候補に入るが、彼も浅野と同じ課題を持つ。前線からのプレス要員、ジョーカーとしての役割は果たせるが、森保ジャパンがもうワンランク上に進化するための「絶対的ストライカー」ではないだろう。

 それならば、Jリーグで結果を残している人材を試してもいい。神戸で今季J1最多の20ゴールを決めている大迫勇也は33歳という年齢がネックになっているが、それでも代表復帰を求めたいほどのパフォーマンスを見せている。鹿島で日本人2位の13ゴールを決めている27歳の鈴木優磨も是非、日本代表で試してもらいたい選手だが、果たして本人にその意思があるかどうか。今季9得点の神戸・武藤嘉紀は31歳。まだまだ肉体的な衰えは感じさせていないが、1トップならば大迫、鈴木の方が適任だろう。果たして彼らの“電撃復帰”はあるか。現在の森保ジャパンの中で見てみたいという興味は大いにある。

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