岸田派の国会議員は、

「長崎4区で落とすようなことがあれば、岸田首相のメンツが立ちません。岸田派は議員はもちろん秘書団まで連日、長崎に入ってテコ入れをしています。もし、ここで負けたなら解散・総選挙は先延ばしするんじゃないかという話が派閥で出るほど大事な戦いです」

 と話す。

 そして末次氏は、2021年の衆院選では、北村氏を約400票差にまで追い詰めた実績がある。

 小渕氏が所属する茂木派の国会議員は、

「小渕氏は岸田首相に抜擢されて選対委員長になっただけに、岸田派が力を入れる長崎4区で負けるようなことがあれば、その責任を問われかねず、茂木派にとっても赤っ恥だ。金子氏も小渕氏と同様に世襲でしょう。その批判が出ているので、厳しい戦いになります。長崎からは『小渕氏が応援に来ると票が減るのでご遠慮を』という話も聞かれます」

 と心配する。

2つ勝って評価上げるか、負けて追い込まれるか

 自民党で長く政務調査役を務めた政治評論家の田村重信氏は、

「参院徳島・高知選挙区はスキャンダル、長崎4区は世襲問題と、自民党には逆風です。岸田首相が早期の解散・総選挙をどう打って出るのかを決める非常に重要な選挙です。岸田首相が長期政権を実現できるのか、この補選にかかっていると言ってもいいほどです。しっかり2つとも勝利すれば、小渕氏の評価も上がって次も見えてくる。反対に2つとも負けると、野党が勢いづいて早期の解散・総選挙の戦略はなくなるので、小渕氏も追い込まれかねない」

 と話す。

 先の茂木派の国会議員は、

「負けたら、やっぱり『ドリル優子』のせいだとなる。そうならないように祈りたいが、小渕氏は選対委員長という立場なのに、選挙の応援に行くとマスコミに囲まれて、またいろいろと聞かれるんじゃないか、とナーバスになっている。選対委員長がそんなことでは心もとない」

 と不安を口にした。

(AERA dot.編集部・今西憲之) 

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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