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 コロナ規制の緩和による生活習慣の変化や、異常としか言いようのない夏の暑さでみなさん、ヘバっていませんか。少しずつ気候が良くなり、夜が長くなる「睡眠の秋」こそ、「快眠」で心身をリカバリーしたい。AERA 2023年10月9日号より。

【図】どっちが正しいの?「快眠」に関する七つの疑問

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 どれくらいの時間、眠ればいいのか。中年になると代謝も落ちてくるが、それをネガティブにとらえず、「代謝の高い頃の睡眠を目指さない」ことも大事だと作業療法士で睡眠外来の経験も豊富な菅原洋平さんは話す。

「代謝が落ちているのに、『若い頃のようにたくさん眠れない』と悩む必要はないんです。自分の年齢の代謝率に見合った睡眠が取れれば十分です」

 見合った睡眠とは。それは長さではなく、自分の寝たいタイミングで寝られて、起きたいタイミングで起きられているか。起きたいタイミングより早く起きてしまうといったことがないか、がポイントだと言う。

味方でも敵でもある光

「長い睡眠ではないけれど、気持ちいい朝を迎えられる満足度の高い睡眠かどうか。加齢で代謝率が低下し、体が持続的に緩やかにエネルギーを使っていくモードに切り替わっているのだから、睡眠に対する考え方も一緒に変えていくことが大事です」

 気持ちのいい朝を迎える眠り。では、そのために大事なポイントとは。睡眠が専門の医師で、RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック理事長の白濱龍太郎さんは、「光」と「情報過多」だと指摘する。

「光というものが、睡眠にとっては味方であり、敵でもあると理解することが大事です。朝、起きたら光を浴びることが大事な一方で、寝る前は『スマホワールド』に取り込まれないよう、スマホを見過ぎてブルーライトを浴びないことが大事。また私たちは動物として、もうオーバーフローしている可能性があります。必要以上の情報が目から入り、脳の中を駆け巡っている。その結果、交感神経が走りっぱなし。これではうまく眠れません。余計な情報を入れ過ぎて考え過ぎないよう、情報にフィルターをかけることを意識する。これも睡眠にとって大切です」

 秋の夜長、睡眠について見直すにはいいタイミングかもしれない。そして快眠を目指そうとすれば知るべきこともたくさんありそうだ。菅原さんは「睡眠の改善をめざすなら、その過程を楽しみに変えること」を勧める。

「睡眠に対して、それが義務だとか、きちんと取らなければいけないものみたいに捉える方が多いんです。睡眠が目的化し、『睡眠さえ取れれば……』と。でも、『睡眠が取れて何がしたいのか』の方が重要です」

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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