日本の伝統的な食事は、緑黄色野菜、海草、魚、大豆製品といった多種多様な食材を使ったバランスの取れたものとなっています。特に、日本人の食生活に多く取り入れられる魚は、オメガ3脂肪酸が豊富で、これは心臓病のリスクを低減するといわれています。

 また、日本独特の発酵食品、例えばみそや納豆、しょうゆは、良好な腸内環境を促進し、免疫の強化や病気の予防にも寄与するとされています。さらに、日常的に摂取される緑茶には、細胞の酸化を防ぐ抗酸化物質がたっぷりと含まれています。

 エイジングクロックやエピジェネティック年齢の観点から直接的に日本食の影響を示す研究はまだ限られていますが、日本の高齢者の長寿や低い慢性疾患の発症率は、日本食の健康効果を物語っているのかもしれません。

 日本食も、その独特なバランスと食材の特性を生かすことで、遺伝子の「若さ」をサポートし、健康寿命を延伸させる手助けとなることは間違いありません。私たちの日常の食事選びが、健康で長寿な生活の鍵を握っています。これを機会にぜひ、日々の食生活を見直してみませんか。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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