神奈川に戻ってから、何度か現場にいきましたが、猫たちには会えませんでした。秋が過ぎた頃、「母猫らしき猫がいた」という情報が届きました。ちょうどその目撃情報があった場所が、(お盆前に尋ねた)友人宅の庭の側だったので、「お庭に来ることない?」と聞いてみました。そのお宅にはゆずちゃんという猫がいるのですが、その後、ゆずちゃんが大活躍しました
暫くはまた猫の情報が途絶えていたのですが、今年2月、ゆずちゃんが窓の外を見て、尾をパンパンに膨らませて「庭に猫が来た!」とサインを出してくれて。友人から送られた写メには、耳カットがされていない“母猫にそっくりな白い猫”が映っていて、「(駐車場で)見かけた子猫だ」とピンときました。それで庭に捕獲機を置かせてもらうと、5日目に入りました。それが「レオ」です。
捕獲機ごと動物病院に連れていき、避妊手術をして、遂に我が家に迎えたのです。
「今日はシャーといわなかった」
「レオ」は想像以上に怖がりでした。注文した猫ケージがなかなか届かなかったので、犬を飼う友人に犬用のテントを借りて、猫ちぐらをいれると、そこにずっと隠れていました。
夫に「飼っていいよね」と聞いたら、「いいとも悪いともわからない」という返事。それまで犬や猫を飼ったことがないからかもしれません。でも私がいない時に、夫は「レオ」に挨拶をちゃんとしていて、「シャーといわれたよ」と報告してくれました。その後も毎日挨拶を続けたようで、しばらくすると「今日はシャーといわなかった」と(笑)。
「ニコ」は、「レオ」が来た4カ月後に来ましたが、捕獲の経緯は「レオ」とまったく同じ。友人宅の猫ゆずちゃんが「庭に猫が来た!」と尾をまたパンパンに膨らませ、それを合図に捕獲機を仕掛けて。そのまま病院に連れていき、避妊手術をしてから家にきました。
「ニコ」が来た時、「レオ」は少し家に慣れて室内を自由に歩いていました。どうするかな、シャーするかなと心配もしたのですが、ケージに「ニコ」をいれると駆け寄ってケージによじ登り、自分の鼻を「ニコ」の鼻につけたのです。「覚えていたんだ、さすが姉妹」と感動しました。
「ニコ」は人に飼われていたかのようにおとなしかったのですが、痩せて、ピンクの地肌がところどころに見えていました。お腹なんてほとんど剥げていて。なおかつ獣医さんが、「この子は出産経験がある」とおっしゃったので、こんな小さな体で?と驚きました。「子猫はちゃんと育たなかったかも」という先生の言葉に、過酷な中で生きてきたんだな、と胸が詰まったものです。