2時間以上に及ぶ取材中、山崎さんは何度かせき込み、会話を約1分ずつ中断した。予定質問のすべては聞き終えていなかったが、3回目のせきで「もう、(取材は)終わりにしましょう」とこちらから言ってしまった。

 それでも、水を少しずつ飲みながら最後まで答えた。強烈な精神力。

 帰り際、「(最後まで答えたのは)心配になったから」と言われた。

「(取材を途中でやめたら)記事は大丈夫なのか、中身は足りるのかと思って。『山崎はこんな学生時代とサラリーマン時代を過ごし、今ではこんなこと言ってます』っていう平凡でつまらない記事になるんじゃないかと」

 やさしい人なのか、嫌みな人なのか。前者だ。ちょっとだけ意地悪なことを言って相手を刺激するところまでが、山崎さん流の「戦略」かもしれない。

編集/綾小路麗香、伊藤忍

※『AERA Money 2023秋冬号』から抜粋

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