忖度なしに経済、資産運用に関し「本当のこと」を言う、経済評論家の山崎 元さんが、新NISAやご自身の病気について、遠慮ゼロで語った。アエラ増刊「AERA Money 2023秋冬号」のインタビュー6ページから抜粋してお届けする。
(とある初心者)この外貨建て金融商品に1000万円、投資しようと思うんですがどうでしょうか。
(山崎AIチャットボット※)ダメです。同じリスクと内容の外貨建てMMFを買ったほうが、為替レートも金利もかなりマシです。1000万円の投資なら、あなたはバカのコストとして手数料を7万5000円も余計に払うことになりますよ。
※チャットボット…自動会話プログラム
***
「『山崎AIチャットボット』に相談すると、こんな感じでズバッと答えてくれるサービスってどうかな。何かを買ったり契約したりする前に、ちょこっと相談できる。定額課金はゼロ、お礼は1回100円で」
いたずらっぽく笑う山崎元さん。辛口の経済評論家として知られる。運用や先端金融の現場で積んだ経験をもとに、お金にまつわる「定説」の真偽を理路整然と検証していくスタイルが人気だ。
「私に、あと30年の持ち時間があって起業するなら『マーケティングの解毒サービス』がおもしろそうです」
マーケティングの解毒? なんだそれは。
「毎月分配型の投資信託(以下、投信)や『高い配当金を年金代わりに!』といったキャッチコピーに引っかかる人が絶えません。
巧みなセールスで高額な羽毛布団を買ってしまう人は、コストの見えない(実は高コストの)外貨建て保険にも契約するんですよ。
情報弱者はマーケティング上の聞こえのいい言葉にだまされます。それを『解毒』してあげるというわけ」
ネーミングがうまい。このお方、口は悪いが(失礼)、言葉選びのセンスが抜群なのである。聞く者を引きつける。
「ビジネススクールなどではマーケティングの技術を素晴らしいものであるかのように言いますが、要は『できるだけ高い値段で多く売るテクニックの集大成』。そんなマーケティングに毒されないようにするためのサービスです。よさそうでしょう?」
「先生泣かせ」な子どもだった
北海道生まれの65歳。子どもの頃は、「先生泣かせ」なことばかりしていた。優秀すぎて周囲とぶつかる「浮きこぼれ」(=吹きこぼれ)という言葉のない時代の話だ。