「一部の日本人は、平本さんが性的行為を強要されたわけではないから被害者ではない、と言っているのだと思います。本来、大人は子どもを守る存在です。そんな大人が子どもにキスをしたり、体を触ったりすれば、間違いなく虐待であり、犯罪です。事務所の子どもたちが、性的関係を持ちたいという意思を持った絶対的な権力者と同じ部屋に置かれたのは事実です。そして、子どもたちは自分の夢を実現したり、キャリアを得るためには喜多川氏を喜ばせる必要があると感じていました。そのように子どもたちに思わせてきた事務所の体質がこの性的加害問題の本質なのです」
メディアは関係を続けるのか?
今後、メディアが信頼できる報道機関であり続けるためには、なぜこれまで喜多川氏の性加害疑惑について、ほとんど報じてこなかったのかを自己検証する必要があると訴える。
インタビューの最後、インマンさんから「さまざまな企業が事務所との契約を打ち切りましたが、テレビを中心としたメディアはこれまでと同様の関係を続けるのでしょうか?」とたずねられ、筆者は言葉に詰まった。
「テレビ、ラジオ、雑誌……喜多川氏がどれだけ多くのメディアを支配してきたか、驚くばかりです。彼は非常に恐れられた存在でした。今後も紅白歌合戦や番組の司会でジャニーズのタレントを起用するのか。その対応で、この問題に対するメディアの本気度がわかると思います」
インマンさんが言う通り、メディアも傍観者ではいられない。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)