BBCのプロデューサーのメグミ・インマンさん
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 ジャニー喜多川氏の性加害問題が大々的に報じられるようになったのは、今年3月に放映された英放送局BBCのドキュメンタリー番組「Predator: The Secret Scandal of J-Pop(J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル)」がきっかけだった。そして9月7日、ついにジャニーズ事務所は喜多川氏の性加害が事実であることを認めた。そして、10月2日には社名変更や具体的な被害者救済策を発表するとみられる記者会見も予定されている。番組の調査報道を行った中心人物であるBBCのプロデューサー・メグミ・インマンさんは、この間の動きをどう感じているのか。率直な思いを聞いた。

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 ドキュメンタリー番組を制作中、ジャニーズ事務所はインマンさんらの取材依頼をかたくなに拒み続けた。長年にわたる子どもたちへの性加害という重大な疑惑に対して、事務所の対応はあまりにも無責任だった。

「事務所はジャニー喜多川氏の性加害をようやく認めましたが、これは第一歩で、始まりにすぎません。大きな前進ではないと認識しています」と、インマンさんは言う。

 10月2日に予定されている事務所の記者会見では、新しい社名が発表されるとみられている。7日の会見時、東山紀之新社長は社名は存続する方針を示していた。だがその後、世論の批判などに突き上げられたことで、社名変更を余儀なくされた感がある。インマンさんも「いまさら感が拭えないと」と対応を疑問視する。

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性加害を生んだ組織から今も利益を得続けている