ジュリー氏は社長を退任したが、引き続き事務所の株式をすべて保有するため、経営に大きな影響力を持ち続けることについても疑問を呈する。
「社長が変わり、社名も新しくなる。しかし、それは単に玄関ドアの色が変わっただけで、会社の中身は何も変わらないように見えます」
企業も縁を切れなかった
青春時代を日本で過ごし、ジャニーズファンでもあったインマンさんは、ジャニーズのタレントは聴衆と同じ年代の子どもたちであり、そんな彼らが長年にわたって性的虐待を受け続けてきたことに胸を痛める。
「事務所には大きな責任があり、やらなければならないことはたくさんあります。被害者に対して謝罪するだけでなく、少なくとも補償が必要です。これからも子どもたちを雇用し、タレントエージェンシーとして継続するのであれば、子どもたちを守るための安全対策を立て、それをどう実施していくのか、継続的に公開しなければなりません。そこに透明性があるのか、私たちは注意深く見守っていく必要があります」
9月7日の記者会見以降、事務所との契約を打ち切る企業が相次いでいることについては肯定的に受け止めているものの、こんな「やりきれなさ」も口にした。
「企業が被害者の申し立てを真剣に受け止める機会はこれまでに何回もありました。BBCが喜多川氏の性加害疑惑を扱ったドキュメンタリー番組を公開する以前から被害者は法廷に立ち、自らの体験を証言してきました。その事実が20年も前に裁判所によって認定されたにもかかわらず、企業が事務所との縁を切るのに、なぜこれほど時間がかかったのか。もし、2000年代初頭に企業が今のような行動をとっていたら、事態は大きく変わっていたかもしれません」