親しげに話す岸田氏と高市氏

 さらに、4月の統一地方選では、総務相時代の秘書を奈良県知事の候補者に擁立した。しかし、県連会長として最も重要な候補者の調整に失敗し、保守分裂となった結果、維新候補に敗れたことで責任論も浮上した。

 こんなこともあった。昨年8月、岸田首相から経済安全保障担当相としての入閣を要請された際には、前任者だった小林鷹之衆院議員の留任を懇願していたといい、SNSに、

<入閣の変更が無かったことに戸惑い、今も辛い気持ちで一杯です>

 と投稿し、不満をあらわにした。

 官邸関係者によると、

「高市氏は政調会長から安全保障担当相になったことに不満を述べていました。小林氏のことを持ち出しているが、高市氏の本音は政調会長までやっているので、どうして格下のようなポストなんだ、という意味に聞こえます。岸田首相は保守の『スター』であることを認識した上で閣内に、と配慮して入閣させたと思いますが」

 とのことで、高市氏のSNSへの投稿に岸田首相は、

「どうしてああいうことをするんだろう」

 とムッとした表情だったという。

総裁選で高市担ぐ動きを警戒

 岸田派のある衆院議員は、

「高市氏は安倍元首相が後ろ盾になって総裁選に出馬できた人です。安倍元首相亡きあとも、根強い人気がある。支持率が低調ななか、高市氏が閣外に出ると保守層に逃げられかねない。また、会長が決まらない安倍派は、来年の総裁選候補は現在のところいません。そうなれば、安倍派の一部のメンバーが再度、『高市氏で』と早々に動くかもしれない。実際、そう言っている議員もいるし、高市氏も誰かに担いでほしいはず。岸田首相としてはウクライナ情勢や台湾有事を考えた際に政策の継続性も大切になるので、高市氏を閣内に置いて混乱を避けたかったようです」

 との見方を示す。

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岸田首相「誰かライバルになりそうなのはいるか?」