室内からの眺め。相模湾を一望する高台にある

 こちらの施設では、入居者全員が、入浴時以外にはApple Watchをつけて生活することが推奨されている。その目的は、入居者のヘルスケア情報を記録するためだ。Apple Watchには身に着けている間の、移動した歩数はもちろん、心拍数、呼吸数の変化、歩いている時の安定性などを記録し続けている。これらの記録を施設側が把握し、入居者に対するアドバイスやコミュニケーションの材料として使っているという。

スマートウォッチはヘルスケア情報を「点」から「線」に変える

 Apple Watchのようなスマートウォッチをつけ続けてもらうことは、医学的に見るとどのような価値があるのだろうか。

慶應義塾大学医学部 循環器内科の木村雄弘医師

 慶應義塾大学医学部循環器内科の木村雄弘医師は次のように説明する。

「日常的に無理のない運動を継続することは良いことですし、それを可視化できることには、とても大きな意味があります」

 一方でこうも話す。

「Apple Watchが収集する家庭生活の情報は、病院で医療機器を使って行う検査データとは違うものです。その点を理解して活用すべきです」

 重要なのは「だから意味がない」という話ではない、ということだ。

「日常生活で無意識に収集されたヘルスケアデータが、どう変化しているかを知ることはとても大切なことです。これを見ることで、生活プランを具体的に相談することができます。また、ご自身が自分の生活パターンの変化に気がつくこともできます。病院検査の時の情報だけを『点』で評価するのではなく、ライフログを『線』で評価し、家庭生活の見守りにつなげることが、Apple Watchを装着し続ける意義だと思います」

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スマートウォッチを付け続けるモチベーション