前出の女性はApple Watchを示しながら、「これのコインでランチを買うのが楽しみなんです」と笑う。
だから、歩く・動くことが健康維持だけではなく「稼ぐ」ことにもなっている。自分が健康的に体を動かし続けることがそのまま施設内での価値になるというのが、ここの特徴である。
コインでできるのは、本当にちょっとしたことで、施設の中だけでしか使えないものだ。しかし、自分の力で稼いでなにかができる、というのは、モチベーションに大きな影響をもたらす。このことは、同所に入居している人々にとってはまさに「やりがい」につながる。
この施設の場合には、日常の行動とヘルスケア記録を「モチベーション」と組み合わせたことで、老人ホームの中で自然に使えるシステムになっているのが興味深い。
単に歩いた歩数を知るだけなら、シンプルな万歩計でいいかもしれない。だが、ソフトやサービスを組み合わせることで単に「歩数を記録する」以上のこともできるようになる。マゼラン湘南佐島の例は、スマートウォッチはどのように使うと価値が高まるのか、良い例を示しているといえそうだ。