そして何よりも大きいのが広島時代の後半には落ちていた球威が戻り、150キロ以上のスピードをマークするようになったことだ。まだ制球力は不安定で、結果もついてきていないだけに評価は難しいところだが、今年で24歳と年齢的にもまだまだ若く、藤井皓哉(ソフトバンク)のような例もあるだけに、まだここからレベルアップする可能性もありそうだ。

 独立リーグでプレーしている野手で圧倒的な成績を残しているのが佐藤優悟(元オリックス)だ。2019年の育成ドラフト7位でオリックスに入団。NPBではわずか2年間の在籍で、支配下登録を勝ち取ることができず、昨年からBCリーグの福島でプレーしている。1年目の昨シーズンに打率.308、16盗塁とまずまずの成績を残すと、オフにはトライアウトを受けることを選択せずに福島に残留。すると、2年目の今シーズンは打率.388で首位打者に輝いたのだ。ホームラン、長打も昨年から大きく伸ばしており、またそれでいながら15盗塁と脚力もあるところをアピールしている。NPBから需要の高い右打者という点もプラス要因だ。今年のドラフト候補は外野手に有力選手が少ないだけに、この活躍ぶりを見て獲得を検討する球団が出てくることも考えられるだろう。

 独立リーグとは違い、社会人野球に進んだ選手はNPB復帰というケースは極めて少ないが、それでも新天地で活躍している選手は少なくない。中でも圧倒的な存在感を示しているのが三菱重工Eastの武田健吾(元中日)だ。社会人1年目の昨年はいきなり外野のレギュラーを獲得。チームは都市対抗出場を逃したが、ENEOSの補強選手に選ばれると、全試合クリーンアップを任されて5試合で7安打を放ち、優勝にも大きく貢献した。

 2年目の今年は自チームで都市対抗に出場。チームは準々決勝で敗れたものの、2回戦の東芝戦では4打数4安打の固め打ちを見せるなど、3試合で11打数7安打、ホームラン2本と打ちまくり、大会の優秀選手賞にも選ばれたのだ。

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