広島時代の山口翔(写真提供・広島東洋カープ)

 両リーグとも首位チームにマジックが点灯し、ペナントレースも最終盤に差し掛かってきた。この時期になると気になるのが選手の去就問題だ。レギュラーシーズンが終わると来季の契約を結ばないことを通告される選手も当然出てくる。オフには毎年12球団合同トライアウトも行われているが、そこで契約を勝ち取るケースは少なく、参加する選手も年々減少傾向にあるのが現状だ。

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 ただその一方でNPB球団との契約は叶わなくても、独立リーグや社会人野球で活躍している選手は少なくない。昨年自由契約になった選手でまず名前が挙がるのが福井優也(元楽天)だ。2010年にドラフト1位で広島に入団。2015年にはキャリアハイとなる9勝をマークしたが、それ以降は年々成績が下降し、トレードで移籍した楽天でも結果を残せずに昨年オフ限りで退団となった。

 今年はBCリーグの福島でプレーしているが、開幕当初から先発の一角として活躍。17試合に登板して10勝5敗、防御率2.28という見事な成績を残し、シーズン最後の登板となった8月25日の新潟戦ではノーヒット・ノーランも達成して見せたのだ。打者のレベルがNPBと比べて落ちる独立リーグではあるが、先発した17試合のうち5回未満で降板したのは1度しかなく、1年を通じて先発として安定した投球を見せたのは立派である。今年も12球団合同トライアウトに参加するかはまだ分からないが、昨年も参加しているだけに、NPB復帰に向けての最後の挑戦となりそうだ(同一選手のトライアウト参加の上限は2回まで)。

 福井と同じく今年から独立リーグでプレーしている投手では山口翔(元広島)も成長を見せている。2017年のドラフト2位で広島に入団し、2年目には一軍で初勝利をマークしたが、その後は二軍でも成績を残せずに昨年オフに退団。今年は九州アジアリーグの火の国サラマンダーズでプレーしている。チームではセットアッパーを任され、ここまで30試合に登板して防御率は3.58と目立った数字を残すことはできていないが、イニング数を上回る奪三振をマークするなど実力の片鱗を見せている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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