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 2023年の統一地方選では、統一教会の問題がありながら、自民党は負けもしなかったが、勝ちもしなかった。問題はだらだらと先送りされ、国民も関心がなくなり、うやむやに…。このパターンでいくつもの政治危機を乗り切ってきた。一方、地方議会だとイデオロギー的な対立が前面に出ることはあまりない。白井聡氏と内田樹氏の新著『新しい戦前 この国の“いま”を読み解く』(朝日新書)の中では、今後の国政を変えていく足掛かりについて、対談形式で述べられている。同著から一部を抜粋、再編集し、紹介する。

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地方政治から変えていく

内田樹(以下、内田):2023年の統一地方選では自民党の議席ががた減りすると僕は予測していました。今回は統一教会の選挙応援が当てにできませんから、これまで当落ラインぎりぎりのところで下位当選していた自民党の地方議員たちは、落選する可能性が高いと読んだんです。統一教会問題にきちんと対応しなかったから有権者が離れたという総括になるのかなと思っていたんですけど。

白井聡(以下、白井):結局、解散命令などもないまま、ひどくうやむやなかたちで統一地方選は終わり、自民党は勝ちもしなかったけれども、負けもしませんでした。

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内田樹

内田樹

内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい 内田樹の大市民講座』『アジア辺境論 これが日本の生きる道』など多数

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