内田:地方自治体の首長に必要なのはやはり包容力と見識ですね。そういう人が3期、4期と継続して行政のトップにいると、かなり独創的な行政ができる。たとえば、兵庫県の豊岡市長を5期務めた中貝宗治さんはコウノトリの野生復帰から始めて、城崎国際アートセンターや芸術文化観光専門職大学の開校など、文化行政の面で個性的な市政をしました。劇作家の平田オリザさんが長くアドバイザー的なことをされていましたので、僕も何度もお会いしてお話をする機会がありましたが、まことにフットワークのよい市長さんでした。

白井:中貝さんは男女共同参画の徹底的な推進でも有名ですが、もともと兵庫県職員ですよね。

内田:お父さんが県会議員で、跡を継いで県会議員になった世襲の政治家です。県議を3期やって2001年に旧豊岡市の市長になりました。

白井:2021年の市長選で落選したのには驚きましたね。

内田:やはり続けて5期20年も首長をやると、システムが硬直化するのかも知れない。

白井:難しいですね。長期政権ではどうしてもそういうことが起こります。

内田:長期間かけないと実現できない政策もあるから、一概に「多選は悪だ」とも言い切れないんですが、やはり3期くらいが限度じゃないかな。その後も自分の政策を継続して欲しかったら、後継者を在任中に育てておく必要がある。でも、能力の高い人は、人に任せるより自分がやった方が早いので、後継者を育てられないんです。

白井:自分は永久に生き続けるような気がしてしまうのでしょうね。

内田:後継者育成は組織のトップに立ったら、その時点でスタートしないとほんとうは間に合わないんですけどね。

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「革新自治体」でプレッシャーを