山川を欠いた西武は最下位に沈み、苦しい戦いが続いている。低迷の大きな要因は得点力不足だ。328得点、71本塁打はいずれもリーグワースト。チームトップタイの12本塁打をマークしているデビッド・マキノンも8月は打率.177、1本塁打と打撃不振で28日に登録抹消された。将来を見据えて「ベッケン」こと渡部健人が4番に座っているが、まだまだ力不足は否めない。3度の本塁打王に輝くなど通算218本塁打をマークしている山川が復帰すれば、戦力面で大きなプラスアルファになるだろう。
ただ、西武ファンは冷ややかな見方が多い。昨オフに正捕手の森友哉がオリックスにFA移籍し、山川も今季中にFA権を取得する予定だった。昨オフの契約更改では球団が提示した4年契約を固辞して単年契約を選択。民放テレビ関係者は、「40本塁打をクリアできる長距離砲は球界で稀少価値がある。FA市場で争奪戦になるでしょう。マネーゲームになったら西武は勝てない。他球団に移籍する可能性が高いとファンの間でもあきらめムードだった」と指摘する。
ファンの理解が得られないまま、1軍に復帰することは難しい。一方で不起訴処分が発表され、西武が山川を契約解除することは考えづらい。1軍で今季中にあと17日間プレーすれば、国内FA権を取得できる。シーズン終盤に復帰してFA権を取得し、行使するという選択肢が考えられるが、他球団の編成担当は否定的な見方を示す。
「山川がFA権を行使しても、獲得に名乗りを挙げる球団はないでしょう。戦力的にはどの球団も欲しい選手ですよ。日本で活躍できる助っ人外国人は少ないし、クリーンアップで計算できる山川は魅力的です。ただ、プロ野球は人気商売です。このタイミングで山川をFAで獲得となれば球団のイメージが悪くなるし、ファンやスポンサーの理解を得られない。西武で来季もプレーするのがベストじゃないですかね」