この日から永崎は、一気に宇宙事業へとのめり込んでいくことになる。

 数カ月にわたって宇宙ビジネスの現状を調べてみたが、そこでわかったのは、いまだ未知の分野で事業として開発されていないということだった。チャンスに充(み)ち満ちた、永崎にとってはうってつけの舞台だった。

 こののち、「スペースBD」の出資者にもなる赤浦とともに永崎は、宇宙関係者を訪ね歩き、話を聞き、学びを重ねていく。永崎が目指したのは、宇宙のよろず屋。衛星の打ち上げ、宇宙空間での実証実験、宇宙空間にモノを運ぶサポートと、宇宙を舞台に何かをしようとする人へのサービス全般を請け負う。まさに宇宙商社だった。

会いたい人にはすぐ会う 大手会社との業務協力も

 宇宙関係者を訪ねる中で出会ったのが東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻の教授、中須賀真一(62)だった。中須賀は超小型衛星の世界的権威であり、宇宙開発の産業全体を見る立場で、いくつもの政府の委員を歴任してきた斯界の重鎮である。

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