スタート当初のイメージは「宇宙のあらゆる困りごとを解決する、意思あるよろず屋」だった(撮影/東川哲也)

 Space BD代表取締役社長・永崎将利。前職は三井物産。安定はしていたが、何かを成し遂げたいと退職。何にチャレンジするか迷う中で、宇宙ビジネスと出合う。まったくの門外漢だったが、宇宙におけるあらゆるビジネスを取り扱う“宇宙商社”の事業にのめりこんでいった。持ち前のパワフルさで、これまで会社を引っ張ってきた。まだまだこれから。大きな夢を抱えて、宇宙へと飛び出していく。

【写真】依頼されるシンポジウム、講演会も多い永崎将利さん

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 全力を注ぎ込んだ20分余りのプレゼンを終えて、永崎将利(ながさきまさとし・42)はひとり新橋のパブに入り、ビールを注文しようとしていた。5時を過ぎたばかりの夕刻。一区切りついたプロジェクトの打ち上げで合流するはずの部下たちもまだ来ていなかったが、まずは自身を労(ねぎ)おうと思ったのだ。

 セルフオーダーのレジでクラフトビールを頼もうとしていたそのとき、メールが入ってくる。少し前にプレゼンをしたばかりの相手「JAXA」(宇宙航空研究開発機構)からだった。

 タイトルには、「本日の選考について」とある。あれ、「選考結果は1週間後に通知」と記されていたはずだと思い、恐る恐る文面に目を移した瞬間、「貴社を事業者として選定します」という文字が飛び込んできた。永崎は、混雑する店内で人目も憚(はばか)らず号泣していた。