中須賀真一(左)とは、宇宙関連の教育事業でも連携。この日は「クロスユー設立記念シンポジウム」で同席。「勝手に私は恩師だと思っています。日本の宇宙業界は先生がキーマンになって、チャンスをつくってきた」(撮影/大野洋介)

 そんな中須賀のもとには、宇宙ビジネスのヒントを得ようと、実に多くのベンチャー企業が訪ねてきた。永崎もそのひとりだった。

 中須賀が言う。

「宇宙への思いだけで、プランが詳細化されてなくて、ふわふわした話で終わってしまう人は多いんだけど、永崎さんは思いだけでなく、ちゃんとバックグラウンドを持っていた。世の中やお金の流れ、お客をどうつかまえるかとビジネスとして具体的だった。衛星・ロケット開発ではなく、宇宙の利用や周辺の産業を動かそうという人はこれまでいなかったんで、ユニークだなと思いました」

 永崎は、世界の宇宙ビジネスの動向、日本で欠けているものは何なのかと、疑問に思うことを中須賀にぶつけた。たまたま中須賀が海外に赴くと聞けば追いかけ、できるだけ近くにいて、その振る舞い、話の内容を理解しようとした。

 永崎の最大の武器は、熱情とスピードと明快なコミュニケーションだ。会いたい人がいればすぐにひとりで会いに行く。通訳も入れない。

 宇宙ビジネス界の先駆である米国ナノラックス社のCEOジェフリー・マンバーともそうやって出会った。忌憚(きたん)なく思いをぶつけ、交渉し、業務協力の契約を結ぶところまでこぎつけた。無名のスタートアップ企業にとっては大金星で、業界では驚嘆の声も上がった。そして、実は先の「JAXA」へのプレゼンにおいても、このナノラックスとの契約が楔(くさび)となって効いていたのだ。

(文中敬称略)(文・一志治夫)

※記事の続きはAERA 2023年8月28日号でご覧いただけます。

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