宇宙におけるあらゆるビジネスを取り扱う“宇宙商社”「Space BD」(スペースBD)を永崎が立ち上げたのは、17年9月のことだった。

 それまで、永崎は、宇宙のことなどまったく知らない門外漢だった。

 早稲田大学を卒業後、三井物産に入社した永崎は、人事部に配属された。同期の総合職は116人だったが、すぐに永崎は「515事件」で注目の人となる。入社直後のTOEICの試験で下から2番目となる515点をとったのだ。800点以上は当たり前、満点もいる同期の中でのブービー。さらには、所属する人事部が主催する経理や法務など6科目の試験も三つ落とし、人事部長から叱責されるという有様だった。

 しかし、人事部で採用担当を任された永崎は、少しずつその頭角を現し始める。

 学生との細やかな面談が高い評価を受け、その手腕が次第に認められていくのだ。学生たちの掲示板上での声も上々だった。

「三菱商事が業績も人気も一番で、三井物産は2位。そこをなんとかしようと、一生懸命やったんです。だいたい優秀な学生って、両方受かっちゃうので、三井物産のどこがいいかを必死でアピールしていました」

 着任から3年目を迎える頃には、ついにある雑誌の就職ランキングで三井物産は三菱商事を抜くまでになっていた。

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