メジャーの球団で活動する日本人トレーナーは、「35歳とベテランの域に入っていますが衰えを全く感じない。普段のトレーニングの賜物でしょう。直球の威力は全盛期より落ちましたが、制球力と高度な変化球で打者を打ち取る技術がある。トミー・ジョン手術を受けた2、3年後から体になじんでパフォーマンスが上がると言われています。前田投手は40歳までメジャーでプレーできるでしょう」と評価する。
まだまだメジャーで通用する現状を考えたら米国で来年以降もプレーする可能性が高いが、日本球界復帰の選択肢がゼロとは言い切れない。前田は21年3月にフジテレビ系列で放送された「World Baseballエンタテイメント たまッチ!」に出演した際、番組レギュラーのアンタッチャブルに将来の日本球界復帰について聞かれ、「今のところはアメリカで頑張りたい……ですけど、最後は日本で終わりたいなって気持ちはもちろん」と告白。「引退も日本のファンの皆さんの前でできたほうがスッキリするのかなって、そういう気持ちはありますけど」と心境を明かしていた。
広島を取材していたスポーツ紙記者は、その胸中を察する。
「マエケンはメジャーに挑戦したいという気持ちを酌んでくれた広島に対する恩を強く感じている。尊敬する黒田博樹さん(現・広島球団アドバイザー)の存在も大きいと思います。黒田さんもメジャーで5年連続2ケタ勝利と先発でバリバリ活躍していたのに、高額のオファーを断って広島に戻ってきた。野球人生は故障でいつ終わるか分からない。メジャーでまだまだ第一線として投げたい気持ちがある一方で、力が落ちていない時に日本球界に戻って、ファンにマウンド上の勇姿を見せて恩返ししたい思いがあるのではないでしょうか」