前田健太選手 写真:AP/アフロ

 完全復活が近い。安定した投球を見せているのがツインズ・前田健太だ。

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 今月10日のタイガース戦で6回3安打1失点の好投。打線の援護がなかったため7敗目を喫したが、6月下旬に負傷者リスト(IL)から復帰以降は9試合登板で防御率2.36と好投を続けている。「9試合連続3失点以下」は、今季のツインズで2番目に長い記録だ。16日のツインズ戦は5回途中3失点で降板した。打線との兼ね合いで3勝のみと白星は伸びていないが、首脳陣の信頼は厚い。ア・リーグ中地区で首位を快走するチームで先発ローテーションの柱になっている。今季は4月4日のマーリンズ戦で右肘靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)から591日ぶりに復帰。直球の球速が上がらず痛打される登板が目立ち、4試合登板で0勝4敗、防御率9.00。その後に右上腕の張りでIL入りして背水の陣を迎えたが、見事に立て直した。

 米国駐在の通信員は「トミー・ジョン手術を受けて、実戦復帰した時は完全復活までもう少し時間がかかるかなと思いましたが、登板を重ねる度に直球の球速が上がり、スライダーやスプリットを織り交ぜて試合をきっちり作っている。今年でドジャースと結んでいた8年契約が切れますが、シーズン終盤もこの投球を続けていれば複数のメジャー球団から好条件でオファーが来ると思います」と太鼓判を押す。

 2015年オフに広島からポスティングシステムでドジャースに移籍し、日本球界を代表する右腕はメジャーでも1年目から16勝をマーク、3度の2ケタ勝利を挙げるなど実力を証明している。前田の強みは総合力の高さだろう。直球、変化球の精度、制球力、フィールディングと全てが高性能で大崩れしない。体のコンディションが万全であれば今年3月のWBCで、侍ジャパンのメンバーに選出されていても不思議ではなかった。

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「最後は日本で終わりたいなって気持ちはもちろん」