James M. Vardaman、チャールズ・M・シュルツ著/三川基好翻案『毎日のスヌーピー 現場で使える英会話力をつける』
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「文化背景の知識」と「予測力」

「文化背景の知識」とは、その言葉が発された背景にどんな文化があり、どんな人間関係があるのか、について知っているかということです。それにより、「予測力」が生まれます。

「ドラえもん」もPeanuts も子どもの世界が描かれていることに変わりはありません。でも、「ドラえもん」で笑えるからといってPeanuts で笑えないのは、舞台となっている場所もキャラクターの個性も違うからです。笑うためには、キャラクターがやりそうなこと、考えそうなこと、リアクションしそうなこと、を予測する力が必要とされます。

 スヌーピーとウッドストックの台詞ゼロの漫画でネイティブスピーカーがニッコリできるのは、彼らの関係をよく知っているからにほかなりません。ルーシーがピアノに寄りかかって練習を邪魔するときシュローダーがどう答えるのかも、ルーシーが支えているフットボールをチャーリー・ブラウンが蹴ろうとしたときに何が起こるのかも、愛読者は予測することができます。

mans best friendというワードを見たときに、「古くから犬のことを人間の親友として捉えてきた」という歴史的な背景を知らずして、この言葉を理解することはできません。

 背景知識があってこそ、これから何が起きるのかを予測することができ、その予測どおりになったり、予測が裏切られたり、予測がずらされたりすることによって、人は笑うことができるのです。

 いま、Peanuts を具体的な例として挙げましたが、あなたがネイティブスピーカーと会話するときに、その言葉の文化的、歴史的背景の理解がなければ、会話は浅いものになるでしょう。同じ地域に生まれた人同士の会話であれば、わざわざ意識せずとも、培ってきた話者同士で共有している知識が理解を補い、次の展開を予測することができるかもしれません。しかし、違う知識をバックグラウンドに持つ第二言語では、そうはいきません。文化背景の知識の積み重ねが肝要となるのです。

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「セットフレーズの知識」と「予測力」