この充と言う男、何をやってもうまくいかない男。生きてていいことなしのこの男が黒い超能力の力を手に入れたことにより、世の中に復讐していく。そして白い超能力を持ったしんちゃんと対決していくというお話である。
正直、しんちゃんは見てて楽しいが、声を出して笑ったことはほぼない。子供は笑っていたが。が、今回は大根さんが脚本なだけあって、とてもギャグ線が高く、僕も何度も声を出して笑ってしまった。会場では、子供たちと大人が笑う場所が違ったりして、そこもまたおもしろい。
そして、泣きである。黒い超能力を手に入れた充としんちゃんが戦っていくわけだが、意外とその戦い、最終決戦ではなかったりする。二人の戦いが、変化していくのだ。
しんちゃんが戦うのは充だけではなく、ある「過去」と戦っていく。しんちゃんは、映画の感動する場面でもしんちゃん流を貫くことが多いのですが、今回は、しんちゃんの意外な一面が見れる。それが映画のポスターにもなっているのですが。その場面で、涙。息子も涙。気づくと、映画館の中で、子供と大人の泣き声が揃っている。
なかなか親子一緒に泣けるものってないですよね。笑って泣ける映画ってよく言うけど、本当に笑って泣けることってかなり少ない。これはまさにそれで、親子で笑って泣ける傑作映画でした。
そしてエンドロールは大根作品おなじみの懲り方で、終わりまで大満足。
今年の夏映画、面白そうな作品ばかりで、悩んでいる人がいたら、まず見よう、しんちゃん!
■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)が発売中。