希望の力の必要性を語ったのは池江璃花子(いけえりかこ、23)だ。希望が遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても頑張れる。白血病と闘った池江の希望の力はプールに戻ることだった。懸命に努力をし、7月に行われた水泳の世界選手権では個人種目、リレー合わせ13レースを戦った。池江の復活劇は、病と闘う人の大きな希望の力となる。

 卓越した技を持つアスリートは何が違うのか。7月下旬に行われたボクシングの世界スーパーバンタム級タイトルマッチで4階級制覇を成し遂げた井上尚弥(いのうえなおや、30)。圧倒的な強さで、試合をするたびに世界中を驚愕(きょうがく)させている。18年、パヤノを70秒で沈めた後、強さの秘訣(ひけつ)を尋ねると、「相手の動きがスローモーションのように見える」と、研ぎ澄まされた感覚を口にした。今回の相手フルトンも、井上のパンチが見えなかったと証言。

身体的特異性を口に

 サッカーのW杯カタール大会で「三笘(みとま)の1ミリ」を演出した三笘薫(かおる、26)の「データマニアと言われたら、そうかもしれない」。彼の技術の高さは、練習量やセンスと思いきや、日々の血液チェックからコンディション、動作解析までデータに基づいたものだった。

 競技の身体的特異性を口にしたのは、水泳の世界選手権アーティスティックスイミング個人種目で優勝した乾友紀子(いぬいゆきこ、32)と、クライミングのパイオニアの野口啓代(のぐちあきよ、34)。通常の生活者である私たちには想像できない身体の変化と言える。

 最近、スポーツ界の大きな課題になっているのは、メンタルヘルスの重要性。テニスの大坂なおみ(おおさかなおみ、25)は、うつ病を患っていたことを公表。ここ数年やっと心の不調を口にするアスリートが増えてきたが、メンタルトレーニングの必要性を訴えたのがボクシングの村田諒太(むらたりょうた、37)。

 高いパフォーマンスを発揮するには、心技体のバランスが大事と言われているが、これまでは根性論がはびこり、心のトレーニングが手薄になっていた。そこに科学的なメスを入れたのが、ソウル五輪シンクロ銅メダリストでスポーツ心理学者の田中ウルヴェ京(みやこ)。村田を始め多くのトップアスリートを指導する田中は、言葉により敏感だ。

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